アラジンと旧ナショナルの石油ファンヒーターは似ている?
石油ファンヒーターの御三家といえば、新潟のコロナ、ダイニチと、愛知のトヨトミという3大メーカー。
かつてはシャープや三菱なども石油ファンヒーターを製造販売していましたが、現在は事業統合もあり、製造は行われなくなってしまいました。
そんななか、注目されているメーカーのひとつが、アラジンというメーカー。
アラジンは、ブルーフレームという石油ストーブで人気のあるメーカーでしたが、ここ最近は石油ファンヒーターのラインナップも増えており、人気ランキングの上位に食い込む健闘ぶりを見せています。
もっとも小型のタイプで、コロナやダイニチの製品が1万円台前半の価格帯であるのに対し、アラジンのラインナップは8千円を切る価格の製品があるなど、なんといっても低価格な点が特徴。
もともと成熟製品である石油ファンヒーターは、各メーカーとも独自の技術や工夫をこらしているとはいえど、灯油を燃焼させてファンで温風を送り出すという単純な暖房器具のため、劇的な差別化が図れないということも影響しているかと思いますが、その圧倒的な価格競争力で勢力を着実に伸ばしているのが、アラジンなのです。
でも、アラジンの石油ファンヒーターのデザインは、どこか見覚えのある感じがしないでしょうか?
そうです。
現在ではすでに製造販売を中止してしまった、パナソニック(旧ナショナル・松下電器産業)がかつて販売していた石油ファンヒーターのデザインにそっくりなのです。
▲今はもう製造されていない、旧松下電器産業の石油ファンヒーター
▲最近売り上げを伸ばしているアラジンの最新ラインナップ
スリットの雰囲気や液晶のサイズ、製品全体の質感など、これはもうOEMなんじゃないかといえるほどの酷似ぶり。
実はこれ、使わなくなって久しい石油ファンヒーターを押入れから引っ張り出してきたときにはじめて気づいたことなのですが、ここまで似ているとなると、パナソニックが石油暖房器具部門をやめる際に、引き継がれたものではないかと思っていましたが、どうやらノックダウン生産が行われた製品のようです。
ノックダウンとは、文字通りバラして組み立てる工法の一種ですが、組み立てを行う国が技術的な問題で満足に作業が行えなかったり、輸送コストが高いために現地で組み立てるなどのアセンブリ作業を伴う生産方式です。
アラジン社とパナソニック社の間に資本関係はみられないことから、松下電器産業が金型や設計図などをアラジン社に売却したものと思われますが、そうなると、もうパナソニックから石油ファンヒーターは登場しないということの証明にもなるわけで、家電のパナソニックファンのひとりとしては少し寂しい限りです。
松下電器といえば安くて良質な家電を送り出す一流家電メーカーのひとつなので、松下ファンでなくても、アラジンの石油ファンヒーターを選択肢の一つに入れるのはいい選択かもしれませんね。