石油ファンヒーターの選び方、活用方法、燃焼方式の違い、メーカー特色、エアコンとのコスト比較、リコール情報など 石油ファンヒーターの選び方

石油ファンヒーターの燃焼方式

一見するとメーカーの違いしかないように思える石油ファンヒーターですが、メーカーによって燃焼方式が違うことはご存知でしょうか?

ダイニチはブンゼン式、コロナはポンプ噴霧式、トヨトミはポット式など、各メーカーが採用している燃焼方式は様々で、それぞれに特徴があります。いわば、自動車でいうところのエンジンの違いです。

そこでここでは、代表的な燃焼方式について説明します。

現在、石油ファンヒーターには3つの燃焼方式があります。

ポット式の燃焼方式

石油ファンヒーターの燃焼筒に直接灯油を流し込んで燃焼させる方式で、最も単純な機構です。

とりあえず燃やしてしまうので、変質灯油や品質の悪い灯油でも燃焼させることができますが、それゆえに石油臭が多く排出されてしまう特徴があります。

現在、この方式を採用している主なメーカーは、トヨトミです。トヨトミの石油ファンヒーターは、変質灯油に対する許容量が大きいことが特徴で、他のメーカーが昨シーズンの灯油の使用を禁じている製品がほとんどのなか、トヨトミは昨シーズンの灯油を使うことを特に禁じていません。

もっとも、外気にずっと触れていた灯油などは使わないに越したことがありませんが、比較的おおらかな仕組みだと言えるため、灯油の品質によるトラブルが生じにくいことが特徴です。

ブンゼン式の燃焼方式

燃焼筒で直接灯油を燃やすのではなく、気化器と呼ばれる機関であらかじめ灯油を熱し、空気と混ざった混合ガスを燃焼筒で燃やすという方式です。

混合ガスを燃やすため、ポット式に比べると点火までの時間が少なく、また点火時や消火時の臭いが少ないことが特徴ですが、灯油を熱してガス化させるという機構上、電気代が高くなりがちです。

ダイニチの石油ファンヒーターが他社メーカーのものに比べると消費電力が大きいのはこのためですが、他メーカーの製品に比べ、点火時の時間が短いことも、このブンゼン方式によるものです。

電気の熱によって混合ガスを燃焼させながら駆動させるデリケートな仕様のため、経年劣化の進んだ灯油など変質灯油への耐久性は低く、出来る限り新しい灯油を使うことが推奨されていますが、ダイニチの石油ファンヒーターは灯油がタンクを通過する際のフィルターが実装されているなど、トラブルが生じにくいように工夫が凝らされていることが分かります。

ポンプ噴霧式の燃焼方式

混合ガスを燃焼させる点では、ブンゼン方式と同じですが、混合ガスを作る過程が異なります。

ブンゼン方式では、気化器と呼ばれる機関で電気的に灯油を暖めて混合ガスを生成しますが、このポンプ噴射式では、燃焼筒自体の熱を利用して混合ガスを発生させる仕組みのため、消費電力が少ないことが特徴です。(運転中は、混合ガスを作るための電力が不要)

現在は、コロナだけがこのポンプ噴霧式を採用しています。

燃焼筒が暖まるまでは着火しないため、ブンゼン方式に比べると着火までに時間がかかるデメリットがありますが、いったん着火してしまえば、燃焼筒自体の熱によって混合ガスを発生させる仕組みのため、消費電力が少ない傾向があります。

以上のように、現在主流になっている燃焼方式には、ポット式、ブンゼン式、ポンプ噴霧式の3つのタイプがあり、どの方式が一番優れているともいえませんが、それぞれの特徴がメーカーの特徴ともなっていますので、カタログスペックや実機を見るときには参考にしてみてください。

方式 ポット式 ブンゼン式 ポンプ噴霧式
着火 遅い 速い 遅い
変質灯油 強い 弱い 弱い
臭い 多い 少ない 少ない
消費電力 少ない 多い 少ない
主な採用メーカー トヨトミ ダイニチ コロナ

※それぞれの方式に対する特徴を示すもので、メーカー独自の工夫によってデメリットが克服されている場合もあります。