姉妹都市と友好都市の違いを解説します。
お住まいの街に姉妹都市はありますか?
姉妹都市は、国と国との関係性を示す外交とはまったく別のもので、あくまでも自治体単位の国際交流を目的とした提携関係ですが、姉妹都市のほかに、友好都市や、親善都市などの呼び方もありますよね。
これらはどう違うのでしょうか?
もともと姉妹都市は、アメリカのアイゼンハワー大統領のが在任中に始まった外交政策のひとつで、アメリカ英語でも「Sister Cities」と訳されます。
姉妹都市として提携すると、おたがいの国や地域の理解を深めるために、文化交流や親善のために様々なイベントが開催されるわけですが、「これをしなければならない」「こうでなければならない」などの厳密な定義があるわけではありません。
どの程度の頻度で交流するのかも、どんなイベントを開催するのかも、提携している都市同士でけっこう自由に決められています。
目次
姉妹都市と呼ぶようになった理由
ところでこの姉妹都市の姉妹ですが、英語のSiterには姉妹という意味だけではなく、同士、仲間、尊敬する人などの意味合いがあります。
よく映画などで、年上のお姉さんや修道女に「Siter!」などと呼びかけるシーンを見かけることがあると思いますが、このときに「妹」「姉」などの意味合いはなく、尊敬・信頼できる相手への自愛を込めて呼んでいるにすぎないものです。
英語で仲間や「Brother!」などと呼びかけているのと同じです。
「ダチ」「仲間」「ツレ」などといった感じですね。
日本でも、気心知れた信頼できる仲間のことや、深いつながりを持つ者同士のことを
「俺たちは兄弟だ」
「兄貴」
なんて言ったり、呼んだりしますが、あれと同じようなものなのですね。
姉妹と友好と親善?
ところが、この「Siter」をほかの国の言葉で訳したときに問題が生じます。
たとえば日本や中国では、「姉妹」と訳されますが、そうなると、
「どちらが姉で、どちらが妹なの?」
という問題が起こり、ひいては
「どちらが上で、どちらが下なのか?」
という上下関係の有無があるように思われてしまいます。
もともとSiterという言葉には上下関係が含まれていません。
英語で姉や妹を表すときは、big sisterや、little sisterなどの言い方をするからです。
そのため、Siter Citiesにも、上下関係や従属関係はなく、どちらも平等で対等な立場を表しているのですが、国によっては上下関係を思い起こさせる言葉に訳されることがあります。
そこで、漢字圏の都市と提携するときには、姉妹都市という言い方をすることをやめて、友好都市という言い方になったのです。
つまり、姉妹都市と友好都市は全く同じ意味なのです。
最近では、親善都市という言い方も増えていますが、内容は同じです。
姉妹都市になれる条件は?
姉妹都市になるための条件は、じつはないのです。
でも、姉妹都市というからには、何かしらの関係性や共通点がなければ、姉妹らしくありませんよね?
たとえば、歴史的に友好関係が長く続いているだとか、同じ産業が盛んだとか、発祥が同じだとか、それなりの理由があるからこそ、姉妹都市だというイメージを持っていると思います。
ところが、意外と
「え?そんな理由で?」
という事情で姉妹関係になっているケースも多いのです。
諸外国の有名な都市と姉妹都市をうたっている地域は数多くみられますが、姉妹都市になっている理由を調べてみると、意外と無理やりな理由で提携されていることがよくあります。
「なんでそこが姉妹都市なの?」
「どういう関係があるの?」
と疑問に思えるケースでも、そこには何かしらの「姉妹である理由」が存在しているのです。
たとえば・・・
●京都とパリは姉妹都市です。どちらの都市にも文化遺産が多いためです。
まぁ納得できますよね。
●鹿児島とナポリは、どちらも火山の近くの街だからです。
うーん、まぁ境遇が近いということで、なんとか納得できます。
●浦安とオーランドは、どちらも巨大テーマパークがあるからです。
うーん?なんかだんだん怪しくなってきました・・・。
●知多市(愛知)と、チタ市(ロシア)は、名前が同じだからです。
いやいや、ほとんどこじつけじゃないですか・・・。ロシア人って、チタってはっきり発音するんですか?
このように、「名前が同じ・似ている」というだけの関係で姉妹都市になっていることもあります。
こうなると、そこに住んでいる市民にとっては、お互いに縁もゆかりもないわけでして、交流といってもなかなか親近感がわきにくいかもしれません(苦笑)
ちなみに、大阪市とミラノは姉妹都市ですが、どちらも「ファッションと産業デザインで有名だから」という理由だそうです。
たしかに大阪市は人口が多く、産業も盛んなのですが、ファッションで有名かというと、なんとなくイメージに合わない気もします。もちろん、繊維の街として古くから栄えた歴史がありますので、ファッションとは切っても切れないものを感じますが、ちょっと意外な感じはしますよね。
ほかにも、たまたまそこの地域の職員さんが、過去に赴任したことのある地域だったというケースもあれば、その都市のことが好きだったという理由などもあるようですが、何かしらのつながりさえ見つけることができれば、姉妹都市として提携できるチャンスがあり、その結果マスコミなどに取り上げてもらえる可能性も増えるわけですから、町おこしをしたいと思っている市町村にとっては、姉妹都市候補探しは、意外と重大なミッションなのかもしれません。
姉妹都市・友好都市の一覧はどこで調べられる?
姉妹都市・有効都市の提携状況は、自治体国際化協会(一般財団法人)で調べることができます。
自治体国際化協会のサイト
http://www.clair.or.jp/index.html
提携単位は、都道府県単位・市区単位・町村単位と細分化されていることが分かります。
たとえば、日本の北海道だと、中国の黒龍江省や、韓国の慶尚南道、タイのチェンマイ県などが姉妹都市になります。
これが釧路市になると、アメリカ合衆国のテネシー州や、ロシア連邦のサハリン州、カナダのブリティッシュ・コロンビア州などが姉妹都市になります。
もっと小さな単位になると、たとえば天塩町ならロシア連邦サハリン州のトマリ、アメリカ合衆国アラスカ州のホーマーなど、より一層こじんまりとした提携関係になっているもあります。
ちなみに全国の都道府県でもっとも姉妹都市の多いところは北海道。
全部で125の提携件数があります。
最下位は宮崎県で、提携件数は16です。
まとめ
ということで、姉妹都市と友好都市と親善都市は同じもので、言い方に配慮しただけに過ぎないものですが、いずれにしても、姉妹都市ということになって、初めてその国や地域の存在を知るというケースも多いものです。
こうした草の根活動的な国際交流を通じて、たくさんの外国の方に日本のことを知っていただくきっかけになればうれしいですね。