そろそろ乾燥する時期になってきましたが、この時期に心配なのが、やはり風邪やインフルエンザなどの感染です。
基本的に、風邪とインフルエンザは全くの別物ですが、空気感染をするという意味においては、感染経路が変わらないため、今回はウィルスというひとくくりにして記載しています。
空気が乾燥するとウィルスなどに感染しやすくなる理由は、喉や鼻の粘膜が乾いてしまうことで、フィルターの役目を十分に果たすことができず、体の中に取り込んでしまう確率が高くなるから。
そこで、部屋の湿度を60%程度に高めることによって、各器官の粘膜が十分な役割を果たしてくれるようにするために加湿器が役立ちます。
ところが、最近の加湿器は、大きく分けて3つの方式があります。
昔ながらのスチーム式と、最近よく見られるようになった超音波式、それにハイブリッド式の3種類です。
どの方式も、湿度を上げるために利用するものですが、それぞれの方法や性質は全く異なるものです。
スチーム式は、ポットでお湯を沸かすようなもので、常時ヤカンで水を沸かしているような状態です。常にポットでお湯を沸かしているのと変わらないため、電気代は高くなりがちで、噴き出してくる蒸気も湯気と同様の高温になるため、噴き出し口に近づくとやけどの心配なども生じます。
次の超音波式は、メガネ洗浄機などでよくみられるような超音波による振動で水を霧(ミスト)のように細かく散らし、それをファンで拡散させることによって湿度を高める方式ものです。
水を沸騰させて蒸気を起こしているわけではなく、水の分子をゆすって気体化させえいるだけなので、電気代も非常に安く、熱い蒸気が出るわけではないので、吹き出される蒸気は冷たく安全性も高いです。
最後の気化式は、ハイブリッド型と呼ばれることもありますが、濡れた雑巾を干しておくかのような方式で、水分を含んだフィルタにファンで風を送ることで湿度を高める方式です。超音波式と同様、熱い蒸気が噴き出すわけではないため、安全性は高いですが、蒸しタオルを放置しておくような方式のため、部屋全体をスピーディに加湿したいという場合には向いていません。
そうすると、安全性や電気代の面で超音波式が優れているように思えますが、こと風邪やインフルエンザ対策として購入する加湿器としては、あまり良い選択ではないのです。
なぜなら、水を超音波で振動させて気化し、空気中に拡散させるもののため、その水が雑菌やバイ菌などに侵されている場合でも、そのまま撒き散らしてしまうからです。
空気感染を防ぐための加湿器にも関わらず、その湿度のもととなる水分に雑菌が含まれたままの状態では、かえって感染のリスクを高めてしまうことにもなりかねません。
その点、昔ながらのスチーム式の場合は、いったんお湯を沸騰させている状態と同じのため、加湿器の釜の中は100度のお湯が沸いています。つまり、その時点で雑菌やバイ菌は死滅しているので、少なくとも空気中に放出される蒸気は殺菌済みなので、部屋がきれいな蒸気で満たされるということになります。
とはいえ、超音波式が劣っているというわけではありません。
清潔な環境や、頻繁に水を交換することを行いさえすれば、綺麗で清潔な水で部屋の湿度が保たれますし、安全かつ電気代も安いので、赤ちゃんや幼児がいる部屋で常時運転させておくなどの用途には最適です。
とはいえ、冬場はインフルエンザや風邪をひくリスクが高まる季節です。
そのため、できる限りシンプルに、清潔で綺麗な環境を保っておきたいものです。
いずれの方式も一長一短ですので、用途や目的にあわせて最適な加湿器を選ぶべきですが、やはりおすすめはスチーム式の加湿器です。
構造が単純なので、壊れにくいこともありますし、どちらにしてもいったん熱湯になった水を放出する機構なので、少々メンテナンスを怠ったとしても、雑菌を撒き散らしてしまう心配は皆無です。
シーズン毎の掃除は少々面倒ではありますし、電気代も多少かかってしまいますが、これも保険の意味合いで利用するものだと考えると、必要なコストなのかもしれません。
ちなみにスチーム式の加湿器は、構造が単純な分、本体の価格自体は安価なものが多いです。
また、大容量のタイプも多々ありますので、寝ている間は水の追加が必要ないものも多々あります。
かつては、パナソニック(旧ナショナル)から発売されていたスチーム式の加湿器が非常に優秀だったのですが、最近はスチーム式の加湿器は作っていないようで残念なのですが、三菱重工やヤマゼンなどからは現在もスチーム方式の加湿器が多数ラインナップされていますので、インフルエンザ対策、風邪の予防としては非常に良い買い物になるだろうと思います。
ストーブの上でヤカンを火にかける光景は見かけなくなりましたが、先人の知恵は理にかなっていることが多いものだと感心ですね。