PLCアダプター(高速電力線)を買ってみた。

有線や無線につづく第3の接続方法として紹介されることの多いPLCですが、無線による接続が上手く確立されない状況が続いたので、思い切って導入してみました。

PLCとは「Power Line Communications」の頭文字を取ったもの。
「Power Line」が電力線、「Communications」が「通信」「情報」なので、日本語では「電力線通信」や「高速電力線」などとも呼ばれることもありますが、それらを総称してPLCアダプターと呼ばれることが多くなってきました。

PLCアダプターの最大の特徴は、電気のコンセントを使ってLANを構築できることです。
有線LANで接続ができる場所なら有線LANを使う方が速度も速いし、セキュリティの心配もありませんので、ネットワーク上の接続トラブルも少なくて済みます。

けれども、2階建て、3階建ての一戸建てや、マンションなどで複数のパソコンを使ってインターネットをしようと思うと、どうしても有線LANではケーブルの引き回しができないため、無線LANが非常にもてはやされています。

しかし、無線LANが使えない状況も、実はよくあるのです。

たとえば、光に対応しているマンションが増えていますが、マンションにも無線LANの利用者はたくさんいます。無線LANネットワークの識別を行うためのESSIDが重複する可能性はありませんが、もともと限られた帯域の無線LANには、チャンネル数が10ほどしかありません。

すると、たくさんの所帯が共に生活を営むマンションや共同住宅では、どうしても隣人と同じチャンネルを選ばざるを得ない状況に陥ります。

異なるESSIDでも、同じチャンネルを使ってしまうと、少なからず干渉が起きます。
その結果、確実につながるはずの距離であっても、無線LANが混信し、正常なネットワーク通信ができなくなることが多々あります。
その他の症状としては、セキュリティを高度にすると無線LANが使えなくなることもあります。

わたしが実際に経験した症状では、一方のPCでは正常につながるものの、一方のPCではいくら試してもDHCPからIPアドレスが割り振られないなどの症状が起きるほか、WEP64bitの低レベルセキュリティは正常につながるものの、WEP128bitでは接続ができないなど、非常に不可解な現象が起きることが頻発しました。

そこで大変役立ったのが、このPLCアダプターなのです。

PLCアダプターどうしをペアリングと呼ばれる作業で認識させると、電気のコンセントを通してネットワークの接続が可能になります。つまり、電気のコンセント網がLANケーブルの代わりを果たしてくれるのです。

たとえば、モデムの置いてある部屋のコンセントにPLCアダプターの親機を接続し、PLCアダプターの子機は別の部屋に接続すると、その間のネットワークが確立されます。(我が家もPLCアダプターを利用していますので、こちらでPLCアダプターでの接続の実例を掲載しています。)

ペアリング作業も驚くほど簡単です。
2つのPLCアダプターの設定ボタンを同時に押すだけでペアリング作業は完了します。

もちろん、セキュリティだって万全ですから、ペアリング作業を行っていない別のPLCアダプターを接続しても、通信の傍受はできません。

無線LANにありがちな、設定漏れによるセキュリティの心配が一切ないところが、PLCアダプターの優れた点です。

また、通信速度も無線LANに比べて格段に速いのです。
有線で接続しているLANと殆ど差を感じないほどの速度が出ます。

光やADSLなどの高速通信を導入しているのであれば、その速度を生かすために、ぜひPLCアダプターによるネットワーク構築も検討してみてください。

各メーカーから様々な機種が出ています。

自宅や実家、会社などでいろいろなメーカーのものを試してみましたが、どれもそんなに差は感じられません。強いて言うと、説明書の分かりやすさくらいのものでしょうか?

というわけで、一般家庭で普通に使う分には、メーカーによる差はないと思います。(厳密に計測をおこなうと、微妙に違いがあるのかもしれませんが)

お奨めは、IOデータのスターターキット。
(I-O DATA HD-PLC 高速電力線通信アダプター スターターパック PLC-ET/M-S)

キャンペーン中だったためか、わたしの場合は、amazonで4980円で買えました。
(実をいうと、Amazonの価格は日々変動するのですが、たまに信じられないような価格で販売されることがあるのです)

しかも、amazonは1500円以上のものだと送料がすべて無料になるので、おそらく楽天などの最安値でも敵わないと思います。
(※後日見てみると、値段が上がっていました。期間限定特価だったのかもしれません。)

スターターキットとして販売されている他のものが、だいたい1万円前後なのを考えると、破格です。

この記事をご覧のタイミングにもよりますので、もしかしたらこんな破格の値段は終わっているかもしれませんが、値段を差し置いてもIOデータのスターターパックは本当にお奨めです。

というのも、PLCは、最初に親機・子機の関連付けを行うためのペアリングというセットアップ作業が必要なのですが、スターターパックは最初からペアリング済みなので、なにも設定することがなくそのまま使えます。ペアリング住みのPLCアダプターセットは、スターターパックとして販売されているPLCアダプター全般に言える話ですが、IOデータのPLCアダプターはとにかく説明書が分かりやすく、将来PLCの台数を増やしたくなった時も、とても簡単に増設が行えます。

もともとPLCのペアリング作業は、親機のPLCと子機のPLCの両方についているセットアップボタンを同時に押すだけのことなので、簡単なのですが、たまにペアリング作業が失敗することがあるのです。

そのため、最初から確実にペアリング済みのスターターキットは、とても安心してPLCアダプターを利用し始めることができます。

その他、お奨めなのが、パナソニックのPLCアダプター。
デザインがなかなか格好いいのと、メタリックシルバーの塗装なので汚れが目立ちにくいところが特徴です。

また、LANのコネクタが4口あるタイプなど、他のメーカーのものとは少し趣が異なり、かゆいところに手が届く仕様になっているものもあります。さすがPLCの普及を率先して先導している家電メーカーの作ったPLCアダプターだと感じます。

もちろん、PLCの規格さえ同じであれば、メーカーを問わずにペアリング作業が行えます。

複数のメーカーのPLCアダプターを組み合わせて使うこともできますので、無線LAN環境がうまく構築できずに悩んでいる場合は、ぜひPLCも入れてみてください。

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事