家計は何から削減すべきか?ファイナンシャルプランナーに相談してみた

健康や安全はもはや「無料ではなく、買うものである」と言われて久しいですが、なかでも三大贅沢商品と言われているのが、医療、教育、保険です。

医療と保険と教育

ファイナンシャルプランナーがひっ迫している家計に直面したとき、まず最初に削減に着手されるのが、上記の3つだといわれています。

実際には、家賃や住宅ローンなどの住関係や、電話料金などの通信関係も対象にされますが、ローンの借り換えや引っ越しなどはすぐ着手できることではありませんし、かといって生活基盤の一部となっている通信関連も、今すぐやめてしまうというわけにはいかないため、見直しの優先順位は少し低くなるようです。

さて、まず家計削減に本丸として挙げられるのが保険です。

病気、けが、入院などに備えておくための医療系・生命保険などの金融商品は、文字通りの保険です。

もちろん何も起こらないに越したことがないわけですが、逆にいえば何かあったときでないとそのメリットを感じられにくい商品ともいえます。

しかし、あまりに複雑であることと、あたかも貯蓄のような勘違いをしてしまいがちなため、保険の見直しを考える機会はそれほど多くありません。

もちろん、余裕がある場合は問題ないのですが、そうでないときに削減効果が多気のも、この保険関係です。

保険は「何かあったときのために」ということで加入するわけですが、問題は毎月の掛け金と保障内容とのバランスです。

まずもって切り替えを推奨されるのが、積立型の生命保険です。いわゆる貯蓄性のある保険ってやつですね。

しかし、掛け捨てではない積立型の医療保険・生命保険に加入している場合は、掛け捨て型の保険に切り替えることを薦められることが多いようです。

満期になれば掛け金が戻ってくるとはいえ、将来に備えすぎて現在が破たんしてしまっては意味がありません。

よって、「もしも」のための保険は、「貯金の代わりにもなる」貯蓄商品という考えは捨てて、局所的なリスクを抑えるための消費商品として捉えることが大切なようです。

つまり、毎月保険を「買っている」という意識をもつことが大切です。

つぎに医療費です。

医療費については、自分が好んで支出するたぐいのものではないので、削減のしようがない面もあります。

それに、保険適用の範囲内の治療であれば毎月の支払金額に上限も設定されていることもあり、なかば成り行きに任せざるをえません。

しかし、いわゆる自費治療と呼ばれている保険適用外の治療(たとえば、銀ではない奥歯や、歯列矯正、美容関連の手術など)を控えたり、規則正しい健康的な生活を送るなどして、なるべくリスクを遠ざける努力も必要です。

たとえば、喫煙を控えるということも、ひいては医療費の削減に直結する取り組みだと言えそうです。

医療費に費やせる費用の大小によって、治療の選択肢が大きく変わることは間違いないことですから、それは事実として認め、どこまでを許容範囲とするのかは、健康な間に十分に検討しておかなければならないかもしれません。

最後に、もっとも贅沢な商品扱いされるのが、子供の教育費です。

いわゆる習い事や塾代などが教育費に該当しますが、資格取得のための学校や、大学受験のための予備校も、教育費に含まれます。

こちらは大幅に見直しを迫られることが多いようです。

たとえば住居の場合、賃貸住宅の家賃や、住宅ローンの毎月の返済額は、月収の30%程度にとどめておくことが推奨されていますが、同じように習い事にも推奨されている割合があります。

教育費とひとくちにいっても、スポーツ系、学習系などいくつか分類がありますが、なかでももっとも贅沢なものが教養系になります。

教養系の代表選手であるピアノやバレエや習字などの場合、月収の2%程度にとどめておくことが推奨されており、相場としても妥当なものなのだそうです。

つまり、月収が20万円の場合は、教養系の習い事にかけてもよい限度額は、4000円くらいだということになります。

これは、月謝そのものの金額だけではなく、それをやっていることで発生する全ての支出を含めてのトータルを、2%程度にとどめておく必要があります。

たとえばピアノの場合、月謝自体はもちろんですが、ピアノの楽器本体、発表会のための費用、衣装代、花代などなど、すべてを含めた金額だということになります。

よって、こうした習い事の場合は、月謝単位ではなく、年間のトータルコストを12カ月で割ってみることが必要です。

月額1万円程度の月謝だとしても、年1回の発表会のチケット購入に5万円、出演料に3万円、衣装代に5万円、先生への花代に1万円、年末年始のお礼に1万円などなど、月謝以外にもおそろしく支出がありますので、それらの支出が今の家計に妥当なものなのかどうかは、今一度考えてみる必要があるでしょう。

たしかに、「やらなくても命にかかわらないこと」なので、削減候補の優先順位は高くなって当たり前ですね。

一方、学習系の教育費は、5~10%程度までが妥当とされていますが、なかでももっとも高額な教育費が、大学受験のための予備校です。

年間の授業料が100万円近くかかることも珍しくなく、下手をすれば1年で3年分の塾代が吹っ飛ぶほどの出費になることも珍しくありません。

こちらも、授業料自体はもちろんですが、講習や模擬試験、交通費など、それ以外の支出も恐ろしくのしかかってきます。

実際、毎月3万円の塾代というと「結構な出費だなぁ」という実感がわくのものですが、それとて1年で36万円だとすると、3年で100万円。

ということは、もしも予備校で2浪でもしようものなら、中学1年から高校3年まで塾に通わせていたことと同じことになってしまうわけで、交通費や食費などを含めると、それ以上の出費になることもありえます。

当然のことながら、合格したらしたで、今度は大学の授業料が負担になります。

いくらこどもの頑張る気持ちを応援してあげたいとはいえ、収入が増えない状況下で、年間の教育コストが一気に跳ね上がることを考えると、これまた非常に頭が痛い話ですね。

ただ、教育にかける費用は、投資としての側面もあります。

よって、早めに備えておきたいのが、いわゆる学資保険ってものです。

要は、積立貯金みたいなものなのですが、同じ金額を銀行や郵便局で定期預金しておくくらいなら、子供向け保険ならではの特約や保証のついた学資保険に加入しておく方が、色々な面で有利です。

積立型の生命保険とは性質の違うものなので、もしも教育費の準備をしておきたい場合は、候補に入れておくべき選択肢のひとつだろうと思われます。

医療費は別として、教育費も保険も「将来への投資」という意味合いが強いものなので、いちがいに贅沢商品という扱いをすることは難しいものですが、やはり分相応のバランスを考慮して設計しておかないと、いつ破たんするか分からない危うさがあります。

もっとも、自分のためではなく、自分の家族や子供のためを思ってのことの場合、削減に着手することが忍びなく感じられることもあるのですが、なるべく負担の少ない、コンパクトで妥当な生活設計を行うように心がけておきたいものですね。

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